小橋かおる
1964年、兵庫県生れ。神戸市在住。
神戸大学大学院教育学研究科修了。
現在、神戸大学など3大学で英語を教える。16才の時、兵庫県主催の国際交流プログラムに参加し初めて渡米。以来国際事情に強い関心を持つ。1998年「海市短歌会」入会。作歌活動開始。著書に『英語科授業学における今日的課題』(1997年、金星堂、共著)、合同歌集『メビウスの帯』(2003年、北羊館)、『メビウスの帯2』(2018年、北羊館)などがある。
Eメール:kaorukobashi☆hotmail.com(☆を@に変えてください。)
追記(2023/4/1):2022年度をもって、神戸大学を退職。2023年4月現在、2大学で英語を教える。
「花と爆弾ーもう、戦争の暴力はやめようよ」を上梓したときの思い ~本書によせて~ から。
20世紀は戦争の世紀と呼ばれ、2度の世界大戦、ベトナム戦争、独裁者による大量虐殺と、限りない暴力にあふれていました。けれども経済的に繁栄した平和な国に生まれ育ったわたしのような人間には、どこか遠くの世界の暴力でしかありませんでした。
21世紀になって、計り知れない暴力がわたしたちの日常に入り込んできました。ニューヨーク、バリ島、イスタンブール、人々を突如として襲う無差別テロ。アフガン、イラクに無数に降り注ぐミサイル。巻き込まれる罪のない人々。それらは決してどこか遠いところの話ではなく、わたしたちに直接襲いかかる暴力であり、またわたしたちの安全と自由を守るという名目のもとにおこなわれる暴力なのです。
本書は終わりのないように見える暴力の連鎖の中で、それでも暴力のない世界への希望を失いたくないという気持ちから沸き上がってきた言葉を編んだものです。短歌や詩の形で表れた言葉は、同じ思いの英語の詩とシンプルな絵とともに本書に収められています。
この本を手にとられたあなたにお願いがあります。ご覧のとおり、この本には空白がたくさんあります。わたしにできるのはここまででした。ですから、この空白はあなたが埋めてください。もしもあなたがアラビア語や中国語、あるいは他の言葉も話すのなら、その言葉に書き直して、その言葉がわかる人に読んであげてください。もしもあなたが絵が好きなら、あなたの絵を描き足して、友達に見せてあげてください。それとも色を塗ってください。わたしひとりではできないことが、あなたが一緒ならできるから。あなたとわたしだけではできないことも、他の誰かが一緒ならできるから。そうして、ここに収められた希望への言葉を、湖面に投げ込まれた石が描く静かな波紋のように、ずっとずっと広げていきましょう。
暴力の連鎖を希望の連鎖に変えるために、あなたの力を分けてください。
2004年3月 小橋 かおる
20世紀は戦争の世紀と呼ばれ、2度の世界大戦、ベトナム戦争、独裁者による大量虐殺と、限りない暴力にあふれていました。けれども経済的に繁栄した平和な国に生まれ育ったわたしのような人間には、どこか遠くの世界の暴力でしかありませんでした。
21世紀になって、計り知れない暴力がわたしたちの日常に入り込んできました。ニューヨーク、バリ島、イスタンブール、人々を突如として襲う無差別テロ。アフガン、イラクに無数に降り注ぐミサイル。巻き込まれる罪のない人々。それらは決してどこか遠いところの話ではなく、わたしたちに直接襲いかかる暴力であり、またわたしたちの安全と自由を守るという名目のもとにおこなわれる暴力なのです。
本書は終わりのないように見える暴力の連鎖の中で、それでも暴力のない世界への希望を失いたくないという気持ちから沸き上がってきた言葉を編んだものです。短歌や詩の形で表れた言葉は、同じ思いの英語の詩とシンプルな絵とともに本書に収められています。
この本を手にとられたあなたにお願いがあります。ご覧のとおり、この本には空白がたくさんあります。わたしにできるのはここまででした。ですから、この空白はあなたが埋めてください。もしもあなたがアラビア語や中国語、あるいは他の言葉も話すのなら、その言葉に書き直して、その言葉がわかる人に読んであげてください。もしもあなたが絵が好きなら、あなたの絵を描き足して、友達に見せてあげてください。それとも色を塗ってください。わたしひとりではできないことが、あなたが一緒ならできるから。あなたとわたしだけではできないことも、他の誰かが一緒ならできるから。そうして、ここに収められた希望への言葉を、湖面に投げ込まれた石が描く静かな波紋のように、ずっとずっと広げていきましょう。
暴力の連鎖を希望の連鎖に変えるために、あなたの力を分けてください。
2004年3月 小橋 かおる
2004年初版 |
"Flowers and Bombs" is a charity book of tanka poems written in Japanese and English. The proceeds from this book have been helping the children of Afghanistan and Iraq, and the children suffering from Fukushima Daiichi nuclear disaster.
Preface
The 20th century could be called the century of war, and it was certainly filled with endless acts of war and merciless violence; in World Wars I and II, the Vietnam War, or massacres by various dictators, hundreds of millions of people are said to have been killed. Even in such a violent era, for a person like me, who was born and lived in security in a prosperous country, the violence seemed to be in a world far, far away.
The 21st century has come and brought unimaginable violence into our daily life. In New York, Bali or Istanbul, terrorists attack people abruptly and indiscriminately. In Afghanistan and Iraq, innumerable bombs have been dropped, killing too many innocent people living there. These acts of violence are not tragedies in some place afar; it is the violence that falls upon us all of sudden, and it is the violence enforced by our nation in the name of protecting our freedom and security.
This is an anthology of poems which has arisen from my hope for a non-violent world. It is a hope that I would stick to and never let go even in this terrible chain of violence. Words for hope have formed poems and appear in this book, with some drawings expressing the same hope in another way.
I have a favor to ask you, my friend. As you see, many parts are left unwritten in this book, and it is all I could do by myself. So, will you please fill in the white parts yourself? If you speak Arabic or Chinese or any other language, please translate the poems into your language, and read them to those who understand them. If you like pictures, please draw some for the poems and show them to your friends, or what about coloring the drawings in this book? What I can't do could be done with you and your help. What you and I cannot do alone could be done with someone else. With some help from more and more friends, let the words for hope spread in the world just like a small ripple created by a cast stone spreading on a quiet lake.
I need your help, my friend, to change the chain of violence into a chain of hope.
Kaoru Kobashi
March 2004
Kaoru's English Blog since 2003
Tanka Poems against the War
Contact: kaorukobashi☆hotmail.com (Change ☆ to @)
2004年より2万件を超えるアクセスいただきました下記ホームページは、2020年よりこのブログに移行しました。
http://www1.plala.or.jp/cheko/kaoru/index.html